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不動産会社のM&Aでも重視されるデューデリジェンスとは?

2024年8月5日
不動産会社M&A

不動産業界におけるM&A(合併・買収)は、市場の変化や経営戦略の一環として重要な選択肢です。


しかし、M&Aの成功には適切な準備と詳細な調査が不可欠であり、中でも特に重要となるのがデューデリジェンス(Due Diligence)です。


本記事では、M&Aでデューデリジェンスを行う目的やデューデリジェンスの種類、受ける側で準備すること、注意するべき点などをまとめます。


M&Aを検討している経営者の方は、ぜひ、参考にしてください。


1.M&Aでデューデリジェンスを実施する目的

デューデリジェンスを実施する主な目的は、買収対象企業の実態を詳細に把握し、適切な判断を行うためです。いわば企業買収における「精密検査」といってもよいでしょう。


買い手側は以下の問題を事前に防ぐことができます。


  • ・財務リスク
  • ・法務リスク
  • ・経営リスク


財務リスクには以下のものが含まれます。

簿外債務貸借対照表に記載されていない債務中小企業のM&Aで注意が必要
偶発債務M&Aが行われるときには債務となっていないが、将来的に債務になる可能性があるもの裁判で争っている損害賠償などが該当
資産の実在性のリスク貸借対照表に計上されているが、現金化しにくかったり存在していなかったりする資産回収困難な債権

M&Aの契約が完了してから、上記のリスクが発生すると大きな損失を被る恐れがあります。

法務リスクには、以下のものが該当します。

  • ・株券発行や株式移転のリスク
  • ・M&Aで取引先との契約続行が難しくリスク
  • ・賃貸不動産の契約に関するリスク
  • ・許認可に関するリスク

いずれも、M&Aを実施することで、事業に悪影響を与える可能性があるため、事前に調べておかなければなりません。

経営に関するリスクとしては、以下のものが該当します。

雇用関連のリスク未払い賃金の問題労働時間管理の問題
事業の将来性や収益性のリスク事業分野の成長性将来的な収益の見込み
経営統合のリスクM&Aを行うことで、相乗効果を発揮できるか

経営に関するリスクが不透明なままM&Aを行うと、大きな効果が期待できないばかりか、不採算部門を抱え込むリスクがあります。

調査を実施することで、こうしたリスクを回避することができるでしょう。

2.デューデリジェンスの種類と内容

デューデリジェンスは、M&Aを成功に導くために必要な調査です。ここからは、種類と内容について解説します。

事業デューデリジェンス

事業デューデリジェンスは、M&Aプロセスにおいて対象企業のビジネス全体を詳細に調査し、その価値やリスクを正確に評価するための重要なプロセスです。

主な調査対象は以下のとおりです。

  • ・経営状況
  • ・将来のキャッシュフロー
  • ・事業モデル
  • ・市場競争力
  • ・顧客関係
  • ・成長見通し
  • ・製品・サービス
  • ・保有する技術力

この調査の結果は、M&Aの意思決定や買収後の統合計画の策定に活用され、買収後の統合や経営判断の資料として役立てられます。

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスは、対象企業の財務状況を詳細に調査するプロセスで、財務諸表や収益、費用、資産、負債、キャッシュフローといったデータを精査します。

調査の目的は、キャッシュフローの健全性や簿外債務があるかないかを調べ、潜在的な財務リスクがあるかないかを特定することです。

主な調査対象は以下のとおりです。

  • ・決算書
  • ・総勘定元帳
  • ・具体的な証憑類
  • ・事業計画書
  • ・監査法人の報告書


財務デューデリジェンスを実施することで、企業内の資金の流れや買収企業の価値を正確に算定し、潜在的な財務リスクを洗い出すことができるでしょう。

税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスとは、M&Aにおける買収対象会社の税務リスクを洗い出し、買収価格や買収後の事業計画への影響を評価するプロセスです。

調査の目的は、過去の税務申告内容や納税状況、税制度の遵守、未解決の税務も代の有無を調べることです。

主な調査対象は以下のとおりです。

  • ・決算報告書
  • ・勘定科目内訳明細
  • ・税務・財務関連の個別資料

これらの調査を行うことで税務リスクを洗い出し、買収後のトラブルを防ぎます。

さらに、税務デューデリジェンスの結果は、企業価値評価や買収価格の交渉にも影響を与えるため、非常に重要です。

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスは、M&Aにおいて買い手が対象会社の法的リスクを把握するために行う調査です。

主な調査対象は以下の通りです。

  • ・会社組織や役員・社員に関する資料
  • ・株式・株主関連の資料
  • ・業務に関する資料
  • ・紛争・許認可などの資料

買収後の事業継続に影響を及ぼす可能性のある許認可や訴訟リスクは、特に重点的に調査されます。

調査で法的リスクが発見された場合、M&A買収価格の交渉やM&A交渉そのものが中止される可能性があるため、注意しなければなりません。

3.デューデリジェンスを受ける事業者がするべき準備

デューデリジェンスを受ける企業は、何を準備すればよいのでしょうか。ここでは、3つの準備について解説します。

必要書類の準備

売り手企業は買い手企業が求める資料を正確に準備しなければなりません。

資料の不備に不備があったり、調査が不十分だったりすれば、買い手企業が売り手企業に不信を招き、最悪の場合、M&Aが破談になる恐れもあります。

提出できない資料がある場合は事前に説明が必要です。

買い手企業は事業領域を絞り込み、計画を立て、様々な側面から問題点を把握します。

また、秘密保持契約を結ぶことで、情報漏洩のリスクを低減できるでしょう。

自社の問題点の洗い出し

調査を受ける前に、売り手企業自身が自社の問題点を洗い出す必要があります。

事業を営んでいれば、大なり小なり問題があるのが当たり前です。

買い手企業に指摘されてから改善をはかるよりも、事前に問題点を把握しておき売り手と買い手が協力して解決することが重要です。

問題解決にスムーズに取り掛かるためにも、自社の問題点を洗い出しておかなければなりません。

社内体制の整備

調査の実施が決まったら、買い手企業からの質問にすぐ対応するため、担当者を決めておく必要があります。

自社の担当者、M&Aやデューデリジェンスに関する窓口として、相手が必要とする資料を準備する役割を担います。

窓口である担当者が決まれば、ヒアリングがあってもすぐに対応できるため安心です。

4.注意点

デューデリジェンスを受ける際、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。

ここでは、2つの注意点を解説します。

誠実な対応を心がける

誠実に対応することは非常に重要です。

特にM&Aの場合、買い手企業と売り手企業の信頼関係が大切であり、虚偽の発言や隠し事があると信頼関係が崩壊してしまう可能性があるからです。

たとえば、未払いの賃金や偶発債務、回収不能な売掛金などがあれば、つい隠してしまうかもしれません。

しかし、これらの都合の悪い事実を隠していたことが発覚すれば、M&Aが破談になってしまうでしょう。

隠し事をせず誠実に対応することが大事なのです。

社内や取引先には内密にする

デューデリジェンスを進める上で、社内や取引先に対する情報管理は極めて重要です。

調査が進行中のときは、従業員や取引先の不安を煽らないように配慮する必要があります。

なぜなら、社外に情報が漏れることで、従業員の大量離職や取引の打ち切りといった深刻なリスクが生じる可能性があるからです。

このような事態を避けるためにも、調査に関わる情報は進行上どうしても必要な範囲に限ってのみ共有し、全体のプロセスが最終契約に至るまで慎重に進行させるべきでしょう。

5.まとめ

今回は、M&Aで必須といってもよいデューデリジェンスについてまとめました。

買い手企業にとって、売り手企業の実態を知るのは何よりも重要なことであり、M&Aを成就させるには、調査段階で両者が協力する体制を整える必要があるからです。

しかし、調査が終わっていない段階で社内や取引先に調査を受けていることが知られると、無用な混乱を招きかねません。

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