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法人譲渡例その6|東京23区内/管理物件引継ぎ/約20年、地場の不動産として営業してきた不動産会社の売却

2024年3月28日
譲渡例(今までのケース)

はじめまして、不動産会社専門のM&A仲介サービス、レスマを運営する株式会社インフィニティライフの伊礼です。


弊社は自社でも不動産仲介業を営んでおり、M&A仲介のノウハウと掛け合わせて、不動産会社専門のM&A仲介サービスを提供しています。

アドバイザーも不動産業界に精通しており、宅建取得者も多くいます。業界ごとの色や特徴に合わせて的確にアドバイスをし、成約に導いています。


不動産会社を経営する方の中には、「自社を売却する」「事業を切り離す」「M&Aをする」ということは大きな会社がすることで、自分には関係がない…と感じている方が多くいらっしゃると感じています。


しかし、

・不動産会社を閉業したいが、従業員やお客さんのことを考えるとやめることができない

・体調面に不安があるが、引き継ぎ手がいない(後継者不足)

・別の事業に集中したい

という方にとっても、株式売却・持分譲渡・事業売却は1つの選択肢となります。売却やM&Aをすることとは、どのようなことなのか、それにより得られるものは何なのか、当ブログではご紹介していきます。


今回は、東京23区内のとある不動産会社のM&Aをご紹介いたします。

売り手さまからお問い合わせをいただいてから、実際の譲渡に至るまでのプロセスを是非ともご覧ください。


不動産会社の概要

・事務所の所在地

東京都江東区


・業種

売買仲介、賃貸仲介、物件管理


・従業員

2名:オーナー様とパート1名


・直近期売上高

約660万円


・純資産

△660万円程度


★案件ページはこちらをクリック


会社の売却(M&A)を決めたきっかけ

高齢になって辞めようと考えたが後継者がいないため


この売り手さまからご連絡をいただいたのは、2023年の12月ごろでした。

事業をたたもうかと考えていたときに弊社のサービスが目にとまり、M&Aを検討していただきました。


売り手さまは80代で、会社売却の譲渡金で今後はゆっくり過ごしたい、ということで譲渡を考えていらっしゃいました。

長年不動産事業を経験し、国内で有名なテーマパークの土地仲介や海外での事業も過去に行い、近年は事業を縮小し、赤字を大きく作らない程度に運営されておりました。年齢的にも引退を考えていたところで譲渡という決断に至りました。

お問い合わせから募集のスタートまで

売り手さまからはお電話でお問い合わせいただき、早速打ち合わせをされたいとのことで売り手さまの事務所に伺わせていただきました。

M&Aを検討することが初めてとのことでしたので、会社の売却方法や交渉の流れ、相場の目安、ご準備いただく書類や資料など丁寧に説明をさせていただきました。

今回の売り手さまのようにM&A自体が初めてという方がほとんどですのこの初回のお打ち合わせでご不明点やご不安を解消していただけるようご案内しています。

詳しくお話を伺うと、基本的に積極的な営業活動はほとんど行わず、管理物件による固定的な売上や、知人などから取引の依頼があった際に稼働している、という状況でした。

そのため短時間勤務のパートさんを1名雇う程度での運営をしていました。

M&Aでは所有不動産や管理物件、引継ぎ人材が主な譲渡資産となりますが、今回は管理物件が主な譲渡対象となりました。

やはりここで、「いくらで売れるのか?」とご質問いただきました。

M&Aには「定価」の概念はないので売り手さまのご希望をいただいて譲渡金を設定することとしました。管理物件は買手市場では非常に注目されているので希望額で売れることもある、と考えていました。

昨今、不動産業者数は数年連続で増加しています。

新しく不動産会社を作ることが一般的ですが、不動産会社を買収して設立・免許取得の手間や時間を省略してすぐに始めたい、という買手さまは弊社の周りだけでも多くいらっしゃいます。

また、免許番号がいくつか増えた状態で始められることもメリットになります。

その他にも、

・既存の銀行口座を使用できる

・取引先を引き継げる

・既存の什器や備品を利用できる

など、買収費用がかかってもプラスの面を大きく感じていただくことが多いのが不動産会社のM&Aです。

募集開始〜基本合意まで


募集準備


まず、売り手さまには最低限以下のような資料を準備をいただいております。


・決算書や確定申告書
・定款、謄本
・賃貸借契約書

など


これらをご準備いただいて、弊社で「企業概要書」を作成します。案件として買い手となる候補者さまにご紹介するときにこの資料を用います。

資料を作成するにあたり、売り手さまにヒアリングをしながら、私もこの法人に対する理解を深めました。候補者さまからはさまざまな視点から質問を受けることになるので、可能な限り理解をし、すぐに返答ができる状況を整えて、募集を開始します。


募集開始、市場の反応


概要書を作成し終え、必要資料も整い、ヒアリングも一通り完了したところで、いよいよ募集開始です。

弊社では、いくつかの募集チャネルを用いて候補者さまにアプローチをしています。


・過去にご縁をいただいたお客さまに直接ご案内する
・弊社のホームページに掲載する
・M&Aのプラットフォームサイトなどを用いる
・広告等を利用する


募集金額は1,000万円からスタートしましたが、各方面にアプローチをしてすぐ、数名の候補者さまが興味を示してくださいました。


トップ面談〜基本合意

候補者の方々には企業概要書をご覧いただいたり、質疑応答を繰り返したりして事前に売手法人様の情報をある程度ご理解いただくように進めています。

すぐにでもお話を進めたいという候補者さまがいらっしゃいまして、募集から約1週間後に面談の設定となりました。

候補者さまは、
・現在不動産業以外の会社に勤めていて、初めての事業をチャレンジする方
・既に不動産事業を展開しており、事業拡大を図る企業さま
・売手様法人のすぐ近くで事業をされ、地域密着で地元で事業を展開されたい企業さま

など、様々な背景や経緯をお持ちの方々にご検討いただきました。

普段はZoomなどを用いてオンライン面談を実施することも多いのですが、買手さまのご希望により対面で実施しました。

2日間に渡って6者の買手候補者様との面談となりました。その後も面談を希望している候補者様もいらっしゃいましたが売り手さま希望により一旦ここで締め切りとなりました。

その内3者から意向表明書が提出され、譲渡金の減額希望がなく、一番早く意向表明を出していただいた買手候補者様との交渉を進めるということとなりました。


この時点で「基本合意」を売り手さま、候補者さまの間で締結します。

基本合意とは、簡単に言えばM&Aの中で、譲渡契約の成約に向けてこれから動いていきましょう、という意思表示のようなものです。

それまで不特定多数の候補者とやりとりをしていたものを、この方のみとのやりとりにする「単独交渉」のフェーズもこの基本合意後になることが一般的です。


DDから譲渡契約、決済まで


DD(デューディリジェンス)


基本合意を締結した後、M&Aの成立・完了に向けて本格的にさまざまな動きをすることになります。その中でも特に重要なことがDD(デューディリジェンス)、いわゆる「企業調査」です。


これは、労務や法務・税務などさまざまな面において、この企業を引き継ぐリスクがないのかをチェックするために行います。

場合によっては弁護士、会計士、税理士の方に入っていただくこともあり、規模も大小さまざまです。


今回は、管理物件の詳細確認と、役員借入等の清算をどのように行うのか、という点が主なDDとなりました。

これまで紙ベースで管理していたものをデータ管理に移行するため全てをデータ化するという作業も含み、少々時間をかけながらの交渉を進めていきました。

管理物件や譲渡スキームの調整のために、買い手さま法人のいくつかの部署の方も交えて面談を行い、最終的には、3月中の譲渡契約、4月末の引き渡しということで話がまとまりました。


この譲渡契約成立まで、お問い合わせから3ヶ月程度の時間を要したことになります。


一般的に譲渡までどのくらい時間がかかる?


弊社のサービスをご利用いただく場合、募集開始から成立まで、概ね3ヶ月程度が平均してかかる期間になります。


ある程度、譲渡のタイミングをイメージしているようであれば、そこから逆算してお問い合わせをいただければ、理想のM&Aを実現することができるかもしれません。

決済(クロージング)


決済当日

4月、ついに決済の日を迎えます。

物品の引き渡しや譲渡金のお支払いは1時間程度で完了し、無事に決済が完了しました。

これからの動きや状況の整理などの打ち合わせを売手様・買手様とで行い、全ての確認事項が整理できたところで解散となりました。

長年会社経営をされてきましたが、今後はゆっくりとした時間を過ごされると仰っていました。

そのバトンをしっかりと受けた買い手さまは、これからさらに活躍されることと思います。