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法人譲渡例その17|東京23区東部|歴史ある免許番号11番の不動産会社の株式譲渡

2024年9月19日
譲渡例(今までのケース)

こんにちは、不動産会社専門のM&A仲介サービス、レスマを運営する株式会社インフィニティライフの郡司です。


弊社は自社でも不動産仲介業を営んでおり、M&A仲介のノウハウと掛け合わせて、不動産会社専門のM&A仲介サービスを提供しています。

アドバイザーも不動産業界に精通しており、宅建取得者も多くいます。業界ごとの色や特徴に合わせて的確にアドバイスをし、成約に導いています。


不動産会社を経営する方の中には、「自社を売却する」「事業を切り離す」「M&Aをする」ということは大きな会社がすることで、自分には関係がない…と感じている方が多くいらっしゃると感じています。


しかし、

・不動産会社を閉業したいが、従業員やお客さんのことを考えるとやめることができない

・体調面に不安があるが、引き継ぎ手がいない(後継者不足)

・別の事業に集中したい

という方にとっても、株式売却・持分譲渡・事業売却は1つの選択肢となります。売却やM&Aをすることとは、どのようなことなのか、それにより得られるものは何なのか、当ブログではご紹介していきます。


今回は、東京23区内のとある不動産会社のM&Aをご紹介いたします。

売り手さまからお問い合わせをいただいてから、実際の譲渡に至るまでのプロセスを是非ともご覧ください。


不動産会社の概要

・事務所の所在地

東京23区東部


・業種

売買、賃貸仲介


・従業員

1名:オーナー様のみ


・直近期売上高

約1,000万円


・純資産

約3600万円程度


★案件ページはこちらをクリック


会社の売却(M&A)を決めたきっかけ

年齢を考え引退を検討していた。


この売り手さまからご連絡をいただいたのは、2024年の4月の上旬ごろでした。

高齢になって体力的に厳しくなり、後継者もいないことから廃業しようかと検討していたところ、弊社のDMが届き、お話しを聞いてみたいということでご連絡いただきました。


売り手さまは70代後半の方で、現在も精力的に活動されてはいるものの、徐々に体力の衰えを感じてきており、後継者もいないことからやめようかなと考えておられました。やめるのも手続きが面倒ということもあり、どなたか引き継いでくれる方がいないかと考えていたときに、弊社のサービスが目にとまり、M&Aを検討していただきました。

これまで売買仲介をメインで行っており、特にある地域に特化した売買仲介を行なっておりました。現在も週に2回は現地に赴き、現地調査等行なっています。譲渡後は特に何をやるかは考えていないといっておられましたが、買手様が希望すれば、これまでの経験・やり方等全て伝授しますと仰っていました。

お問い合わせから募集のスタートまで

売り手さまからはお電話でお問い合わせいただき、早速打ち合わせをされたいとのことでしたので、翌日事務所に伺いました。

M&Aを検討することが初めてとのことでしたので、会社の売却方法や交渉の流れ、相場の目安、ご準備いただく書類や資料など丁寧に説明をさせていただきました。

今回の売り手さまのようにM&A自体が初めてという方がほとんどですのこの初回のお打ち合わせでご不明点やご不安を解消していただけるようご案内しています。

詳しくお話を伺うと、金融機関の借入はなく、役員の借入もない、ただし会社から個人的に1500万円ほど借りているお金(貸付金)があるとのことでした。売り手様のお考えでは、現金が2000万円以上会社にあるため、退職金と相殺して基本的には何もない状態で引き継ぎをしたい。と、ある程度お考えがまとまっている状況でした。

M&Aでは所有不動産や管理物件、引継ぎ人材が主な譲渡資産となりますが、今回は宅建業者免許が主な譲渡対象となりました。

ここで、「何も残らないけどけど買い手はいるの?」とご質問をいただきました。

買い手さまにとってメリットと感じるものは様々です。引継ぐものが何もない状態でも、免許番号を引き継げること、事務所が継続できてすぐに事業を始められることが買手さまにとって魅力の一つとなります。

昨今、不動産業者数は数年連続で増加しています。

新しく不動産会社を作ることが一般的ですが、不動産会社を買収して設立・免許取得の手間や時間を省略してすぐに始めたい、という買手さまは弊社の周りだけでも多くいらっしゃいます。

また、免許番号がいくつか増えた状態で始められることもメリットになります。

その他にも、

・既存の銀行口座を使用できる

・取引先を引き継げる

・既存の什器や備品を利用できる

・既存の事業とのシナジー効果がある

など、買収費用がかかってもプラスの面を大きく感じていただくことが多いのが不動産会社のM&Aです。

募集開始〜基本合意まで


募集準備


まず、売り手さまには最低限以下のような資料を準備をいただいております。


・決算書や確定申告書
・定款、謄本
・賃貸借契約書

など


これらをご準備いただいて、弊社で「企業概要書」を作成します。案件として買い手となる候補者さまにご紹介するときにこの資料を用います。

資料を作成するにあたり、売り手さまにヒアリングをしながら、私もこの法人に対する理解を深めました。候補者さまからはさまざまな視点から質問を受けることになるので、可能な限り理解をし、すぐに返答ができる状況を整えて、募集を開始します。


募集開始、市場の反応


ヒアリングの当日には概要書を作成し終え、必要資料も整い、いよいよ募集開始です。

弊社では、いくつかの募集チャネルを用いて候補者さまにアプローチをしています。


・過去にご縁をいただいたお客さまに直接ご案内する
・弊社のホームページに掲載する
・M&Aのプラットフォームサイトなどを用いる
・広告等を利用する


譲渡金額は200万円で引き継ぎは宅建業免許と事務所のみの案件としてまずは弊社のホームページで募集しましたが、1週間ほどで複数の候補者さまが興味を示してくださいました。


トップ面談〜基本合意

候補者の方々には企業概要書をご覧いただいたり、質疑応答を繰り返したりして事前に売手法人様の情報をある程度ご理解いただくように進めています。

すぐにでもお話を進めたいという候補者さまがおり、募集から1週間弱で4者ほどの方々と面談設定を行いました。

候補者さまは、
・現在は不動産業界で働いており、今後独立を検討されている方
・他の事業をメインに行っているが、不動産業に本格参入を考えていた企業さま

・現在ば別の業界で働いているが、今後不動産業で独立したいと考えている方
・すでに複数社不動産会社を経営しているが、関連会社を増やしていきたいとお考えの企業さま

など、様々な背景や経緯をお持ちの方々にご検討いただきました。

面談は、買い手さま売り手さまのご希望でZoomなどを用いてオンライン面談を実施することもありますが、関東近辺の案件は基本的には対面にて実施をしております。

2日に分けて4者の方々と面談を行いました。

面談を経て売り手さまとしては、やはり不動産業界をよく知っている人が良いのではないかと思われ、そのうちの2者の方に絞っていただきました。

その上で一つ売り手さま側に条件があり、
・事務所の物件オーナーが厳しい方で、代表者及び連帯保証人の変更が可能か事前に確認する必要がある。

ということでした。

基本合意を進めたあとに、物件オーナーから代表者変更は不可と言われることもごく稀にあります。
そう言ったトラブルを避けるためにも、事前に確認した上で問題ない方とお話しをすすめたいとのご希望でした。

買い手様も問題なく必要な書類を意向表明書と併せて提出していただき、そのうちの1社の方と具体的に話を進めることになりました。


この時点で「基本合意」を売り手さま、候補者さまの間で締結します。

基本合意とは、簡単に言えばM&Aの中で、譲渡契約の成約に向けてこれから動いていきましょう、という意思表示のようなものです。

それまで不特定多数の候補者とやりとりをしていたものを、この方のみとのやりとりにする「単独交渉」のフェーズもこの基本合意後になることが一般的です。


DDから譲渡契約、決済まで


DD(デューディリジェンス)


基本合意を締結した後、M&Aの成立・完了に向けて本格的にさまざまな動きをすることになります。その中でも特に重要なことがDD(デューディリジェンス)、いわゆる「企業調査」です。


これは、労務や法務・税務などさまざまな面において、この企業を引き継ぐリスクがないのかをチェックするために行います。

場合によっては弁護士、会計士、税理士の方に入っていただくこともあり、規模も大小さまざまです。


今回は、買い手様にて決算書等で財務状況は把握され、譲渡スキームなどの調整がメインでした。

買い手さまのご希望でできるだけ早めの引き継ぎを希望されていたため、当初引き継ぎは7月以降となっておりましたが、5月下旬譲渡契約、6月末引き渡しと話がまとまりました。


この譲渡契約成立まで、お問い合わせから1.5ヶ月程度の時間を要したことになります。


一般的に譲渡までどのくらい時間がかかる?


弊社のサービスをご利用いただく場合、募集開始から成立まで、概ね3ヶ月程度が平均してかかる期間になります。今回は大きな負債があること、譲渡までの時間に期限があったため、当初は候補者が見つかりづらいかと思っていましたが、募集してから1週間で多くの方々からお問合せをいただきました。候補者が見つかってからは概ね1ヶ月というスピードでお話がまとまりました。


ある程度、譲渡のタイミングをイメージしているようであれば、そこから逆算してお問い合わせをいただければ、理想のM&Aを実現することができるかもしれません。

決済(クロージング)


決済当日

6月下旬、ついに決済の日を迎えます。

今回は、代表者退任、事務所移転なし、ということで当日買い手さまが用意した登記書類に署名捺印をし、物品の引き渡し、税理士との会計書類確認をして決済を完了しました。

売り手さまは代表を退任しましたが、この後少しの期間、案件の引き継ぎ等で月に何度か伺うということでした。「これから何をしようかなと、ボランティアでもやってみようかな」とワクワクしながら帰宅された後ろ姿が印象的でした。

ご縁があってサポートさせていただいた方々の、色々な思いを伺っている分、決済の日は私も色々な思いが湧き上がってきますが、売り手さま買い手さま双方が、これからさらに活躍されることを願っています。

終わりに


今回の売り手さまは、FAXDMからM&Aという手段を知り、廃業することなく、経営権をお譲りし、引き続き事業に携わることができました。


廃業をするにも、費用がかかります。また、什器類を撤去するなど、費用だけではなくそれ相応の手間もかかります。

M&Aという選択肢をとると、それはそれで別の手間が発生することはありますが、無駄な出費を抑えることができ、場合によっては譲渡金が入ります


・年齢面や体調面で引退を考えている
・経営状態が芳しくない
・後継者がいない
・別事業にお金、マンパワーを集中させたい

上記のように考えている不動産会社の経営者さまは多くいらっしゃるはずです。
M&Aという選択肢を是非とも知っていただき、ご縁があれば当社にお問い合わせくださいませ。


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