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法人譲渡例その16|大阪府の不動産会社|清算予定(解散中)の株式譲渡

2024年9月9日
譲渡例(今までのケース)

はじめまして、不動産会社専門のM&A仲介サービス、レスマを運営する株式会社インフィニティライフの伊礼です。


弊社は自社でも不動産仲介業を営んでおり、M&A仲介のノウハウと掛け合わせて、不動産会社専門のM&A仲介サービスを提供しています。

アドバイザーも不動産業界に精通しており、宅建取得者も多くいます。業界ごとの色や特徴に合わせて的確にアドバイスをし、成約に導いています。


不動産会社を経営する方の中には、「自社を売却する」「事業を切り離す」「M&Aをする」ということは大きな会社がすることで、自分には関係がない…と感じている方が多くいらっしゃると感じています。


しかし、

・不動産会社を閉業したいが、従業員やお客さんのことを考えるとやめることができない

・体調面に不安があるが、引き継ぎ手がいない(後継者不足)

・別の事業に集中したい

という方にとっても、株式売却・持分譲渡・事業売却は1つの選択肢となります。売却やM&Aをすることとは、どのようなことなのか、それにより得られるものは何なのか、当ブログではご紹介していきます。


今回は、愛知県のとある不動産会社のM&Aをご紹介いたします。

売り手さまからお問い合わせをいただいてから、実際の譲渡に至るまでのプロセスを是非ともご覧ください。


不動産会社の概要

・事務所の所在地

大阪府


・業種

売買仲介


・従業員

1名:オーナー様のみ


・直近期売上高

約1,500万円


・純資産

約1,000万円程度


★案件ページはこちらをクリック


会社の売却(M&A)を決めたきっかけ

年齢を考え引退(法人の解散)を検討していた。


この売り手さまからご連絡をいただいたのは、2023年の12月ごろでした。

年齢面を考慮して廃業や清算を考えていた、というときに弊社のサービスが目にとまり、M&Aを検討していただきました。


売り手さまは70代で、引継ぎ手がいつのであれば元気なうちに引き渡したいと考えていらっしゃいました。

譲渡後に自身で別の仕事や事業を行うことも検討しており、また、引継ぎ手が一緒に仕事をしたいというのであればこれまでの知見を活かしていきたいとも仰っていました。

お問い合わせから募集のスタートまで

売り手さまからはお電話でお問い合わせいただき、早速打ち合わせをされたいとのことで数日後に売り手さまの事務所近くへ伺い、お話を聞かせていただきました。

M&Aを検討することが初めてとのことでしたので、会社の売却方法や交渉の流れ、相場の目安、ご準備いただく書類や資料など丁寧に説明をさせていただきました。

今回の売り手さまのようにM&A自体が初めてという方がほとんどですのこの初回のお打ち合わせでご不明点やご不安を解消していただけるようご案内しています。

詳しくお話を伺うと、既に解散登記を行っており、事務所や運営にかかる広告契約等を解約、廃業届も出されいる状況でした。

M&Aでは所有不動産や管理物件、引継ぎ人材が主な譲渡資産となりますが、今回は宅建業者免許と建築事務所登録、人材として売主様自身が主な引継ぎ対象となりました。

ここで、「稼働していない法人でも売れるのか?」とご質問いただきました。

負債があったり事業実績が無くても免許番号を引き継げることやすぐに事業を始められることは買手にとっても魅力となります。

昨今、不動産業者数は数年連続で増加しています。

新しく不動産会社を作ることが一般的ですが、不動産会社を買収して設立・免許取得の手間や時間を省略してすぐに始めたい、という買手さまは弊社の周りだけでも多くいらっしゃいます。

また、免許番号がいくつか増えた状態で始められることもメリットになります。

その他にも、

・既存の銀行口座を使用できる

・取引先を引き継げる

・既存の什器や備品を利用できる

など、買収費用がかかってもプラスの面を大きく感じていただくことが多いのが不動産会社のM&Aです。

募集開始〜基本合意まで


募集準備


まず、売り手さまには最低限以下のような資料を準備をいただいております。


・決算書や確定申告書
・定款、謄本
・賃貸借契約書

など


これらをご準備いただいて、弊社で「企業概要書」を作成します。案件として買い手となる候補者さまにご紹介するときにこの資料を用います。

資料を作成するにあたり、売り手さまにヒアリングをしながら、私もこの法人に対する理解を深めました。候補者さまからはさまざまな視点から質問を受けることになるので、可能な限り理解をし、すぐに返答ができる状況を整えて、募集を開始します。


募集開始、市場の反応


ヒアリングの当日には概要書を作成し終え、必要資料も整い、いよいよ募集開始です。

弊社では、いくつかの募集チャネルを用いて候補者さまにアプローチをしています。


・過去にご縁をいただいたお客さまに直接ご案内する
・弊社のホームページに掲載する
・M&Aのプラットフォームサイトなどを用いる
・広告等を利用する


譲渡金額は200万円で免許と建築事務所登録の引継ぎができる案件として募集しましたが、2週間もたたずに数名の候補者さまが興味を示してくださいました。


トップ面談〜基本合意

候補者の方々には企業概要書をご覧いただいたり、質疑応答を繰り返したりして事前に売手法人様の情報をある程度ご理解いただくように進めています。

すぐにでもお話を進めたいという候補者さまがいらっしゃいまして、募集から1週間程度で6者ほどの方々と面談の設定となりました。

候補者さまは、
・現在不動産業以外の会社に勤めていて、初めての事業をチャレンジする方
・既に関東圏で事業を展開しており、中部や関西へ事業拡大を図る企業さま
・他の事業をメインに行っているが、不動産業に本格参入を考えていた企業さま

など、様々な背景や経緯をお持ちの方々にご検討いただきました。

買い手様は関西圏の方がほとんどであったため売り手様の事務所周辺で対面面談を実施しました。

数社面談したのですが、譲渡金額や事業方針が合致せず、なかなか具体的に話が進まずに破談となってしまいました。改めて募集を再開するとまたすぐに候補者が現れ、今回の方は売り手様と一緒に仕事がしたい、売り手様は今回の方とはうまく一緒に仕事ができそうだ、と意気投合し具体的に話が進んでいきました。

この時点で「基本合意」を売り手さま、候補者さまの間で締結します。

基本合意とは、簡単に言えばM&Aの中で、譲渡契約の成約に向けてこれから動いていきましょう、という意思表示のようなものです。

それまで不特定多数の候補者とやりとりをしていたものを、この方のみとのやりとりにする「単独交渉」のフェーズもこの基本合意後になることが一般的です。


DDから譲渡契約、決済まで


DD(デューディリジェンス)


基本合意を締結した後、M&Aの成立・完了に向けて本格的にさまざまな動きをすることになります。その中でも特に重要なことがDD(デューディリジェンス)、いわゆる「企業調査」です。


これは、労務や法務・税務などさまざまな面において、この企業を引き継ぐリスクがないのかをチェックするために行います。

場合によっては弁護士、会計士、税理士の方に入っていただくこともあり、規模も大小さまざまです。


今回は、解散中ということもあり、

・解散中の株式譲渡に何か問題は無いか
・継続登記(会社復活)をする前に退職金を出すことは問題無いか
・廃業届をすでに出しているが税務関係で事前にすべき手続きは無いか
・宅建業免許や建築事務所登録の継続のためにすべきことは無いか

など、弁護士、社労士、税理士、行政、などに売り手様・買い手様がそれぞれ1つ1つ確認しました。

法的・事務的な確認が無事に済んだので、あとは売り手様が引き続きお仕事をする勤務条件等をすり合わせ、譲渡日当日に雇用契約を結ぶ、ということで双方の合意となりました。


この譲渡契約成立まで、お問い合わせから3カ月程度の時間を要したことになります。


一般的に譲渡までどのくらい時間がかかる?


弊社のサービスをご利用いただく場合、募集開始から成立まで、概ね3ヶ月程度が平均してかかる期間になります。今回は大きな負債もあったため候補者が見つかるまでに少し時間がかかりましたが、候補者が見つかってからは1ヶ月程度でお話がまとまりました。


ある程度、譲渡のタイミングをイメージしているようであれば、そこから逆算してお問い合わせをいただければ、理想のM&Aを実現することができるかもしれません。

決済(クロージング)


決済当日

7月、ついに決済の日を迎えます。

今回は、売り手さまが代表退任、後日事務所を移転する、ということで司法書士の方とも打ち合わせながら引き渡し物品を確認して決済を完了しました。

売主様は代表を退任するのと同時に買い手様企業の従業員として買い手様と一緒に仕事を行うこととなりました。新たな環境で仕事をしていくことに期待や不安を持ちながらも楽しみにしているご様子もうかがうことができました。売り手様も買い手様もそれぞれの領域を活かしながらさらに活躍されることと思います。