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法人譲渡例その14|金融機関負債あり|商店街にある不動産会社の売却

2024年8月28日
譲渡例(今までのケース)

こんにちは、不動産会社専門のM&A仲介サービス、レスマを運営する株式会社インフィニティライフの郡司です。


弊社は自社でも不動産仲介業を営んでおり、M&A仲介のノウハウと掛け合わせて、不動産会社専門のM&A仲介サービスを提供しています。

アドバイザーも不動産業界に精通しており、宅建取得者も多くいます。業界ごとの色や特徴に合わせて的確にアドバイスをし、成約に導いています。


不動産会社を経営する方の中には、「自社を売却する」「事業を切り離す」「M&Aをする」ということは大きな会社がすることで、自分には関係がない…と感じている方が多くいらっしゃると感じています。


しかし、

・不動産会社を閉業したいが、従業員やお客さんのことを考えるとやめることができない

・体調面に不安があるが、引き継ぎ手がいない(後継者不足)

・別の事業に集中したい

という方にとっても、株式売却・持分譲渡・事業売却は1つの選択肢となります。売却やM&Aをすることとは、どのようなことなのか、それにより得られるものは何なのか、当ブログではご紹介していきます。


今回は、東京23区内のとある不動産会社のM&Aをご紹介いたします。

売り手さまからお問い合わせをいただいてから、実際の譲渡に至るまでのプロセスを是非ともご覧ください。


不動産会社の概要

・事務所の所在地

東京23区西部


・業種

買取再販
売買、賃貸仲介


・従業員

2名:オーナー様、パートタイマー


・直近期売上高

約2,000万円


・純資産

約▲1800万円程度


★案件ページはこちらをクリック


会社の売却(M&A)を決めたきっかけ

競売落札がうまくいかず、資金繰りも苦しくなってきたため


この売り手さまからご連絡をいただいたのは、2024年の3月ごろでした。

元々ご病気で、大きな手術を経験され、身体面でも限界がきており、譲渡を検討していたところ、弊社のDMが届き、お話しを聞いてみたいということでご連絡いただきました。


売り手さまは70代後半の方で、年末に大きな手術をされ、年齢と体調面を考えて、このまま経営を続けていくのは難しいと判断され、どなたか引き継いでくれる方がいないかとM&Aを検討されておりました。

これまで競売での買取再販をメインで行ってきましたが、競売での落札が思うようにうまくいかず、直近2年は落札ができていない状況でした。賃貸や売買の仲介、更新業務、リフォームなどの事業で売り上げを立てておりましたが、金融機関の借り入れもあり、会社が潰れる前に経営権を譲り、自身も継続して続けながらサポートしたいと仰っておりました。

お問い合わせから募集のスタートまで

売り手さまからはお電話でお問い合わせいただき、早速打ち合わせをされたいとのことでしたので、翌日事務所に伺いました。

M&Aを検討することが初めてとのことでしたので、会社の売却方法や交渉の流れ、相場の目安、ご準備いただく書類や資料など丁寧に説明をさせていただきました。

今回の売り手さまのようにM&A自体が初めてという方がほとんどですのこの初回のお打ち合わせでご不明点やご不安を解消していただけるようご案内しています。

詳しくお話を伺うと、これまでは競売による買取再販をメインに行なっていたが、2年くらい落札ができていない状況。賃貸売買の仲介と更新業務での収益、リフォーム業で売上を上げているが、代表者が大病を患ったことで、売上の前年に比べて大幅に下がってしまっていました。金融機関の借入返済もあり、2ヶ月ほどで資金が底をついてしまう状況でした。

M&Aでは所有不動産や管理物件、引継ぎ人材が主な譲渡資産となりますが、今回は宅建業者免許と売り手さまと従業員の人材要素が主な譲渡対象となりました。

ここで、「負債があっても売れるのか?」とご質問をいただきました。

引継ぐ負債があっても免許番号を引き継げることやすぐに事業を始められることが買手さまにとって魅力の一つとなります。

昨今、不動産業者数は数年連続で増加しています。

新しく不動産会社を作ることが一般的ですが、不動産会社を買収して設立・免許取得の手間や時間を省略してすぐに始めたい、という買手さまは弊社の周りだけでも多くいらっしゃいます。

また、免許番号がいくつか増えた状態で始められることもメリットになります。

その他にも、

・既存の銀行口座を使用できる

・取引先を引き継げる

・既存の什器や備品を利用できる

・既存の事業とのシナジー効果がある

など、買収費用がかかってもプラスの面を大きく感じていただくことが多いのが不動産会社のM&Aです。

募集開始〜基本合意まで


募集準備


まず、売り手さまには最低限以下のような資料を準備をいただいております。


・決算書や確定申告書
・定款、謄本
・賃貸借契約書

など


これらをご準備いただいて、弊社で「企業概要書」を作成します。案件として買い手となる候補者さまにご紹介するときにこの資料を用います。

資料を作成するにあたり、売り手さまにヒアリングをしながら、私もこの法人に対する理解を深めました。候補者さまからはさまざまな視点から質問を受けることになるので、可能な限り理解をし、すぐに返答ができる状況を整えて、募集を開始します。


募集開始、市場の反応


ヒアリングの当日には概要書を作成し終え、必要資料も整い、いよいよ募集開始です。

弊社では、いくつかの募集チャネルを用いて候補者さまにアプローチをしています。


・過去にご縁をいただいたお客さまに直接ご案内する
・弊社のホームページに掲載する
・M&Aのプラットフォームサイトなどを用いる
・広告等を利用する


譲渡金額は0円で負債がある案件として募集しましたが、1週間ほどで複数の候補者さまが興味を示してくださいました。


トップ面談〜基本合意

候補者の方々には企業概要書をご覧いただいたり、質疑応答を繰り返したりして事前に売手法人様の情報をある程度ご理解いただくように進めています。

すぐにでもお話を進めたいという候補者さまがおり、募集から2週間で4者ほどの方々と面談設定を行いました。

候補者さまは、
・現在不動産業界で働いており、今後独立を検討されている方
・他の事業をメインに行っているが、不動産業に本格参入を考えていた企業さま

・自身の会社とのシナジー効果を持たらすことができるとお考えの方

など、様々な背景や経緯をお持ちの方々にご検討いただきました。

面談は、買い手さま売り手さまのご希望でZoomなどを用いてオンライン面談を実施することもありますが、関東近辺の案件は基本的には対面にて実施をしております。

2日に分けて4者の方々と面談を行いました。

そのうちの1者の方が売り手さまからとても好印象で、その方で進めていきたいと連絡をいただきました。

買い手さまは基本的には売り手さまの負担になることは全て変更した上で、一緒にお仕事をしていきたいと仰られ、売り手さまは喜んでこの方で話を進めると決断されました。


この時点で「基本合意」を売り手さま、候補者さまの間で締結します。

基本合意とは、簡単に言えばM&Aの中で、譲渡契約の成約に向けてこれから動いていきましょう、という意思表示のようなものです。

それまで不特定多数の候補者とやりとりをしていたものを、この方のみとのやりとりにする「単独交渉」のフェーズもこの基本合意後になることが一般的です。


DDから譲渡契約、決済まで


DD(デューディリジェンス)


基本合意を締結した後、M&Aの成立・完了に向けて本格的にさまざまな動きをすることになります。その中でも特に重要なことがDD(デューディリジェンス)、いわゆる「企業調査」です。


これは、労務や法務・税務などさまざまな面において、この企業を引き継ぐリスクがないのかをチェックするために行います。

場合によっては弁護士、会計士、税理士の方に入っていただくこともあり、規模も大小さまざまです。


今回は、買い手様にて決算書等で財務状況は把握され、譲渡スキームなどの調整がメインでした。

できるだけ早めの譲渡を希望されていたため、4月中旬譲渡契約、引き渡しと話がまとまりました。


この譲渡契約成立まで、お問い合わせから1ヶ月程度の時間を要したことになります。


一般的に譲渡までどのくらい時間がかかる?


弊社のサービスをご利用いただく場合、募集開始から成立まで、概ね3ヶ月程度が平均してかかる期間になります。今回は大きな負債があること、譲渡までの時間に期限があったため、当初は候補者が見つかりづらいかと思っていましたが、募集してから1週間で多くの方々からお問合せをいただきました。候補者が見つかってからは概ね1ヶ月というスピードでお話がまとまりました。


ある程度、譲渡のタイミングをイメージしているようであれば、そこから逆算してお問い合わせをいただければ、理想のM&Aを実現することができるかもしれません。

決済(クロージング)


決済当日

4月中旬、ついに決済の日を迎えます。

今回は、代表者追加、事務所移転なし、ということで株式だけを引き渡す形となり、司法書士立ち会いのもと、登記変更書類の確認を行いました。
「これから一緒に仕事を頑張っていきましょう」と売り手さま買い手さま笑顔で握手されました。

数週間後、売り手さまから「今回はとても良い方をご紹介いただきありがとうございました。おかげさま様で順調に事業の継続ができています」とご連絡をいただきました。

ご縁があってサポートさせていただいた方々から、譲渡後にその後の状況などご連絡いただけることは、本当に嬉しく励みになります。


これからさらに活躍されることと思います。

終わりに


今回の売り手さまは、チラシからM&Aという手段を知り、廃業することなく、経営権をお譲りし、引き続き事業に携わることができました。


廃業をするにも、費用がかかります。また、什器類を撤去するなど、費用だけではなくそれ相応の手間もかかります。

M&Aという選択肢をとると、それはそれで別の手間が発生することはありますが、無駄な出費を抑えることができ、場合によっては譲渡金が入ります


・年齢面や体調面で引退を考えている
・経営状態が芳しくない
・後継者がいない
・別事業にお金、マンパワーを集中させたい

上記のように考えている不動産会社の経営者さまは多くいらっしゃるはずです。
M&Aという選択肢を是非とも知っていただき、ご縁があれば当社にお問い合わせくださいませ。


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