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法人譲渡例その10|東京23区内の不動産会社|外国籍の買い手さまへの売却

2024年6月11日
譲渡例(今までのケース)

はじめまして、不動産会社専門のM&A仲介サービス、レスマを運営する株式会社インフィニティライフの伊礼です。


弊社は自社でも不動産仲介業を営んでおり、M&A仲介のノウハウと掛け合わせて、不動産会社専門のM&A仲介サービスを提供しています。

アドバイザーも不動産業界に精通しており、宅建取得者も多くいます。業界ごとの色や特徴に合わせて的確にアドバイスをし、成約に導いています。


不動産会社を経営する方の中には、「自社を売却する」「事業を切り離す」「M&Aをする」ということは大きな会社がすることで、自分には関係がない…と感じている方が多くいらっしゃると感じています。


しかし、

・不動産会社を閉業したいが、従業員やお客さんのことを考えるとやめることができない

・体調面に不安があるが、引き継ぎ手がいない(後継者不足)

・別の事業に集中したい

という方にとっても、株式売却・持分譲渡・事業売却は1つの選択肢となります。売却やM&Aをすることとは、どのようなことなのか、それにより得られるものは何なのか、当ブログではご紹介していきます。


今回は、東京23区内のとある不動産会社のM&Aをご紹介いたします。

売り手さまからお問い合わせをいただいてから、実際の譲渡に至るまでのプロセスを是非ともご覧ください。


不動産会社の概要

・事務所の所在地

東京都新宿区


・業種

売買仲介、賃貸仲介


・従業員

1名:オーナー様のみ


・直近期売上高

約760万円


・純資産

約▲2,800万円程度


★案件ページはこちらをクリック


会社の売却(M&A)を決めたきっかけ

コロナの影響で経営が行き詰まり、負債が大きくなってきたため


この売り手さまからご連絡をいただいたのは、2023年の9月ごろでした。

事業をたたむかどうしようかと考えていたときに弊社のサービスが目にとまり、M&Aを検討していただきました。


売り手さまは60代で、後継者が見つかるうちに譲渡して清算したい、ということで譲渡を考えていらっしゃいました。

長年不動産関連の事業を経験してきましたが近年は主にコロナの影響で徐々に売上が下がっている状況でした。年齢的にも引退を考えていたところで譲渡という決断に至りました。

お問い合わせから募集のスタートまで

売り手さまからはお電話でお問い合わせいただき、早速打ち合わせをされたいとのことでオンライン面談でお話を伺わせていただきました。

M&Aを検討することが初めてとのことでしたので、会社の売却方法や交渉の流れ、相場の目安、ご準備いただく書類や資料など丁寧に説明をさせていただきました。

今回の売り手さまのようにM&A自体が初めてという方がほとんどですのこの初回のお打ち合わせでご不明点やご不安を解消していただけるようご案内しています。

詳しくお話を伺うと、基本的に積極的な営業活動はほとんど行わず、これまでの顧客や知人などから取引の依頼があった際に稼働している、という状況で、負債が膨らみ、合計で3,000万円ほどになっていました。

M&Aでは所有不動産や管理物件、引継ぎ人材が主な譲渡資産となりますが、今回は宅建業者免許のみが主な譲渡対象となりました。

やはりここで、「負債があっても売れるのか?」とご質問いただきました。

引継ぎ負債があっても免許番号を引き継げることやすぐに事業を始められることは買手にとっても魅力となります。

昨今、不動産業者数は数年連続で増加しています。

新しく不動産会社を作ることが一般的ですが、不動産会社を買収して設立・免許取得の手間や時間を省略してすぐに始めたい、という買手さまは弊社の周りだけでも多くいらっしゃいます。

また、免許番号がいくつか増えた状態で始められることもメリットになります。

その他にも、

・既存の銀行口座を使用できる

・取引先を引き継げる

・既存の什器や備品を利用できる

など、買収費用がかかってもプラスの面を大きく感じていただくことが多いのが不動産会社のM&Aです。

募集開始〜基本合意まで


募集準備


まず、売り手さまには最低限以下のような資料を準備をいただいております。


・決算書や確定申告書
・定款、謄本
・賃貸借契約書

など


これらをご準備いただいて、弊社で「企業概要書」を作成します。案件として買い手となる候補者さまにご紹介するときにこの資料を用います。

資料を作成するにあたり、売り手さまにヒアリングをしながら、私もこの法人に対する理解を深めました。候補者さまからはさまざまな視点から質問を受けることになるので、可能な限り理解をし、すぐに返答ができる状況を整えて、募集を開始します。


募集開始、市場の反応


ヒアリングの当日には概要書を作成し終え、必要資料も整い、いよいよ募集開始です。

弊社では、いくつかの募集チャネルを用いて候補者さまにアプローチをしています。


・過去にご縁をいただいたお客さまに直接ご案内する
・弊社のホームページに掲載する
・M&Aのプラットフォームサイトなどを用いる
・広告等を利用する


譲渡金額は0円で負債がある案件として募集しましたが、1ヶ月もたたずに数名の候補者さまが興味を示してくださいました。


トップ面談〜基本合意

候補者の方々には企業概要書をご覧いただいたり、質疑応答を繰り返したりして事前に売手法人様の情報をある程度ご理解いただくように進めています。

すぐにでもお話を進めたいという候補者さまがいらっしゃいまして、募集から2~3週間後に面談の設定となりました。

候補者さまは、
・現在不動産業以外の会社に勤めていて、初めての事業をチャレンジする方
・既に不動産事業を展開しており、事業拡大を図る企業さま
・売手様法人のすぐ近くで事業をされ、別で新規設立を考えていた企業さま

など、様々な背景や経緯をお持ちの方々にご検討いただきました。

普段はZoomなどを用いてオンライン面談を実施することも多いのですが、買手さまのご希望により対面で実施しました。

しかし残念ながら今回の買手様は見送りとなってしまいました。

不動産業未経験の方だったため、事業を大きくするビジョンがまだ構想できなかったとのことです。

その後、何度かお問合せをいただきましたがうまくマッチングせず、売主様も少しあきらめかけている状況でした。そんな中、募集を開始してから3ヵ月ほどが経ったタイミングで外国籍の方からお問合せがありました。

すぐにでも面談を設定したいとのことで売主様にご連絡して数日後に対面での面談を実施しました。日本語が流暢ではないため通訳同席での面談となりました。

募集資料を確認していただき、もちろん負債を引き継ぐことを了承の上、すぐにでも買収したいとの反応で、売主様も驚きつつ交渉を進めることとなりました。

外国籍の方にとっては法人設立や事務所の契約、特に銀行口座の開設が難しいのでこういった事情をお持ちの買い手さまにとっては負債があっても承継することにメリットがあります。


この時点で「基本合意」を売り手さま、候補者さまの間で締結します。

基本合意とは、簡単に言えばM&Aの中で、譲渡契約の成約に向けてこれから動いていきましょう、という意思表示のようなものです。

それまで不特定多数の候補者とやりとりをしていたものを、この方のみとのやりとりにする「単独交渉」のフェーズもこの基本合意後になることが一般的です。


DDから譲渡契約、決済まで


DD(デューディリジェンス)


基本合意を締結した後、M&Aの成立・完了に向けて本格的にさまざまな動きをすることになります。その中でも特に重要なことがDD(デューディリジェンス)、いわゆる「企業調査」です。


これは、労務や法務・税務などさまざまな面において、この企業を引き継ぐリスクがないのかをチェックするために行います。

場合によっては弁護士、会計士、税理士の方に入っていただくこともあり、規模も大小さまざまです。


今回は、負債の詳細やどのように引き継ぐのか、事務所移転をどのように行うのか、などの調整がメインでした。

何度か買い手さまと売り手さまとで打ち合わせを行い、スケジュールや譲渡スキームの調整を整ったところで最終的には、4月に譲渡契約、5月中旬の引き渡しということで話がまとまりました。


この譲渡契約成立まで、お問い合わせから半年程度の時間を要したことになります。


一般的に譲渡までどのくらい時間がかかる?


弊社のサービスをご利用いただく場合、募集開始から成立まで、概ね3ヶ月程度が平均してかかる期間になります。今回は大きな負債もあったため候補者が見つかるまでに少し時間がかかりましたが、候補者が見つかってからは1ヶ月程度でお話がまとまりました。


ある程度、譲渡のタイミングをイメージしているようであれば、そこから逆算してお問い合わせをいただければ、理想のM&Aを実現することができるかもしれません。

決済(クロージング)


決済当日

5月、ついに決済の日を迎えます。

物品の引き渡しや譲渡金のお支払いは1時間程度で完了し、無事に決済が完了しました。

これからの動きや状況の整理などの打ち合わせを売手様・買手様とで行い、全ての確認事項が整理できたところで解散となりました。

長年会社経営をされてきましたが、今後は少しゆっくりしながら新たな事業に挑戦したりできることを楽しみにしていると仰っていました。

そのバトンをしっかりと受けた買い手さまは、これからさらに活躍されることと思います。