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法人譲渡例その13|東京23区西部の不動産会社|事務所変更での売却

2024年8月27日
譲渡例(今までのケース)

こんにちは、不動産会社専門のM&A仲介サービス、レスマを運営する株式会社インフィニティライフの郡司です。


弊社は自社でも不動産仲介業を営んでおり、M&A仲介のノウハウと掛け合わせて、不動産会社専門のM&A仲介サービスを提供しています。

アドバイザーも不動産業界に精通しており、宅建取得者も多くいます。業界ごとの色や特徴に合わせて的確にアドバイスをし、成約に導いています。


不動産会社を経営する方の中には、「自社を売却する」「事業を切り離す」「M&Aをする」ということは大きな会社がすることで、自分には関係がない…と感じている方が多くいらっしゃると感じています。


しかし、

・不動産会社を閉業したいが、従業員やお客さんのことを考えるとやめることができない

・体調面に不安があるが、引き継ぎ手がいない(後継者不足)

・別の事業に集中したい

という方にとっても、株式売却・持分譲渡・事業売却は1つの選択肢となります。売却やM&Aをすることとは、どのようなことなのか、それにより得られるものは何なのか、当ブログではご紹介していきます。


今回は、東京23区内のとある不動産会社のM&Aをご紹介いたします。

売り手さまからお問い合わせをいただいてから、実際の譲渡に至るまでのプロセスを是非ともご覧ください。


不動産会社の概要

・事務所の所在地

東京23区西部


・業種

買取再販


・従業員

1名:オーナー様のみ


・直近期売上高

約3,100万円


・純資産

約600万円程度


★案件ページはこちらをクリック


会社の売却(M&A)を決めたきっかけ

コロナの影響で仕入先が倒産、仕入れが難しくなったため


この売り手さまからご連絡をいただいたのは、2024年の2月ごろでした。

すでに廃業予定で、事業をたたむ準備をしていたところ、弊社のDMが届き、M&Aを検討していただきました。


売り手さまは50代で、自身で経営することに疲れてしまい、一度廃業しようと考えていらっしゃいました。

これまで買取再販をメインで行ってきましたが、コロナの影響で仕入れ先が倒産し、仕入れが難しくなってきたことから売り上げも減少、一度全て精算し、知り合いの会社で再スタートしようと考えていたようです。

お問い合わせから募集のスタートまで

売り手さまからはお電話でお問い合わせいただき、早速打ち合わせをされたいとのことでしたので、すぐに日程調整し、事務所に伺いました。

M&Aは初めてでしたが、実は、商工会議所に事業承継の相談はしていたようで、会社の売却方法や交渉の流れ等はすでにご存じで、相場の目安、ご準備いただく書類や資料など私から説明をさせていただきました。

今回の売り手さまのようにM&A自体が初めてという方がほとんどですのこの初回のお打ち合わせでご不明点やご不安を解消していただけるようご案内しています。

詳しくお話を伺うと、すでに事務所の解約届は出しているということで、2ヶ月で売却先が決まらなければ、そのまま廃業するという状況で、スピーディに行う必要があるとのことでした。

M&Aでは所有不動産や管理物件、引継ぎ人材が主な譲渡資産となりますが、今回は宅建業者免許のみが譲渡対象となりました。

宅建業者の免許のみでも買い手はつくのか?とご質問をいただきましたが、

引継ぐ資産等がなくても、免許番号を引き継げることやすぐに事業を始められることが買手さまにとって魅力の一つとなります。

昨今、不動産業者数は数年連続で増加しています。

新しく不動産会社を作ることが一般的ですが、不動産会社を買収して設立・免許取得の手間や時間を省略してすぐに始めたい、という買手さまは弊社の周りだけでも多くいらっしゃいます。

また、免許番号がいくつか増えた状態で始められることもメリットになります。

その他にも、

・既存の銀行口座を使用できる

・取引先を引き継げる

・既存の什器や備品を利用できる

など、買収費用がかかってもプラスの面を大きく感じていただくことが多いのが不動産会社のM&Aです。

募集開始〜基本合意まで


募集準備


まず、売り手さまには最低限以下のような資料を準備をいただいております。


・決算書や確定申告書
・定款、謄本
・賃貸借契約書

など


これらをご準備いただいて、弊社で「企業概要書」を作成します。案件として買い手となる候補者さまにご紹介するときにこの資料を用います。

資料を作成するにあたり、売り手さまにヒアリングをしながら、私もこの法人に対する理解を深めました。候補者さまからはさまざまな視点から質問を受けることになるので、可能な限り理解をし、すぐに返答ができる状況を整えて、募集を開始します。


募集開始、市場の反応


ヒアリングの当日には概要書を作成し終え、必要資料も整い、いよいよ募集開始です。

弊社では、いくつかの募集チャネルを用いて候補者さまにアプローチをしています。


・過去にご縁をいただいたお客さまに直接ご案内する
・弊社のホームページに掲載する
・M&Aのプラットフォームサイトなどを用いる
・広告等を利用する


譲渡金額は150万円で譲渡時の資産負債はなく、事務所は新規で探す必要がある案件として募集しましたが、2日もたたずに数名の候補者さまが興味を示してくださいました。


トップ面談〜基本合意

候補者の方々には企業概要書をご覧いただいたり、質疑応答を繰り返したりして事前に売手法人様の情報をある程度ご理解いただくように進めています。

すぐにでもお話を進めたいという候補者さまがおり、募集から1週間で3名の候補者さまと面談設定を行いました。

候補者さまは、
・既に不動産事業を展開しており、事業拡大を図る企業さま
・他の事業をメインに行っているが、不動産業に本格参入を考えていた企業さま

など、様々な背景や経緯をお持ちの方々にご検討いただきました。

面談は、買い手さま売り手さまのご希望でZoomなどを用いてオンライン面談を実施することもありますが、関東近辺の案件は基本的には対面にて実施をしております。

譲渡までスムーズに進めるために、同日に3社面談を行いました。

売り手さまのご希望を全てのんでくれ、スムーズに引き継いでいただける方を優先としたいということで、
一番早く意向表明をいただいた方で進めていきたいとお考えでした。

売り手さまのご希望は
・事務所は移転
・法人印及び銀行印等は引き継ぎ不可(変更してほしい)
・宅建士は継続不可

その結果、ほぼ2社同時でしたが、不動産会社をすでに何社か経営しており、売り手さまのご希望も全て受け入れると言った個人の方で決断されました。


この時点で「基本合意」を売り手さま、候補者さまの間で締結します。

基本合意とは、簡単に言えばM&Aの中で、譲渡契約の成約に向けてこれから動いていきましょう、という意思表示のようなものです。

それまで不特定多数の候補者とやりとりをしていたものを、この方のみとのやりとりにする「単独交渉」のフェーズもこの基本合意後になることが一般的です。


DDから譲渡契約、決済まで


DD(デューディリジェンス)


基本合意を締結した後、M&Aの成立・完了に向けて本格的にさまざまな動きをすることになります。その中でも特に重要なことがDD(デューディリジェンス)、いわゆる「企業調査」です。


これは、労務や法務・税務などさまざまな面において、この企業を引き継ぐリスクがないのかをチェックするために行います。

場合によっては弁護士、会計士、税理士の方に入っていただくこともあり、規模も大小さまざまです。


今回は、買い手様にて決算書等で財務状況は把握され、譲渡スキームなどの調整がメインでした。

当初は、3月末譲渡予定でしたが、解約する事務所の保証金や前払い賃料の還付を受けてからという売り手さまの希望により、4月中旬に譲渡という流れになりました。

買い手さま側も急いでいるわけではないということで、譲渡日を少し延ばすことにも快諾していただけました。


この譲渡契約成立まで、お問い合わせから2ヶ月程度の時間を要したことになります。


一般的に譲渡までどのくらい時間がかかる?


弊社のサービスをご利用いただく場合、募集開始から成立まで、概ね3ヶ月程度が平均してかかる期間になります。今回は大きな負債もなく、宅建免許のみの引き継ぎであったため、候補者もすぐに見つかりました。事務所の保証金や前払い賃料の還付を受けてからの引き継ぎという希望が出たため、譲渡まで2ヶ月かかりましたが、概ね1ヶ月半というスピードでお話がまとまりました。


ある程度、譲渡のタイミングをイメージしているようであれば、そこから逆算してお問い合わせをいただければ、理想のM&Aを実現することができるかもしれません。

決済(クロージング)


決済当日

4月中旬、ついに決済の日を迎えます。

今回は、代表者変更、事務所移転もあり、司法書士立ち会いのもと、登記変更書類の確認を行いました。また、事前に決算書や取引台帳等郵送にて売り手さまから買い手さまへと送っており、その確認も行いました。

すべての確認を終え、無事に引き継ぎが完了しました。

数ヶ月たって売り手さまから、新しい会社で再スタートしたとご連絡いただきました。
これからさらに活躍されることと思います。