皆さんは、不動産業界というとどのようなイメージをお持ちでしょうか。
大きな資本を持った大規模な会社が、地域を開発するというイメージを持っているかもしれませんが、そういった会社はほんの一握りです。
大半の不動産会社は従業員が5人以下の小規模法人や個人事業主です。
『2017年版 中小企業白書』をみると、小規模法人の7.9%、個人事業主の26.0%が廃業を検討しているとありました。
「後継者を確保できない」というのが廃業の第一の理由として挙げられています。
従業員や顧客に迷惑をかけず、自分自身の廃業負担を減らす有力な方法にM&Aがあります。
本記事では、後継者問題に取り組む方法やM&Aで事業継承するメリットなどについて解説します。
廃業や事業継承、M&Aをお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
近年、日本全国で経営者の高齢化が問題となっています。
2023年に調査会社の帝国データバンクが発表した全国「社長年齢」分析調査(2023年)によると、全国の社長の平均年齢が60.5歳となり、33年連続で上昇していることがわかりました。
同調査によると、社長が交代する際の平均年齢は68.7歳で、新社長の平均年齢は52.5歳となっています。
70歳近くまで事業を続け、交代した社長も10年もすれば60歳になってしまうという現状が浮き彫りとなったわけです。
業種別でみると、最も高齢化が進んでいるのが不動産業界で社長の平均年齢が62.6歳と平均を2.1歳上回っています。
特に、貸事務所や貸家業は高齢化が顕著で、貸事務所は66.6歳、貸家業は64.9歳となっています。
若手の起業家が多いIT業界などが含まれるサービス業は59.1歳であり、不動産業全体と比べ3.5歳、最も高齢化が進んでいる貸事務所と比べると7.5歳の差があります。
どの分野も、上場企業平均の社長年齢を上回っている経営者の高齢化問題は、事業の継続という点でも暗い影を落としています。
2023年度の後継者難による倒産は586件と過去最高を記録しました。
しかも、後継者難による倒産の約4割が経営者の病気または死亡を主な原因としていることから、経営者の高齢化が事業継続の大きな不安材料となっていることがわかります。
もはや、事業継承は待ったなしの状態といえるでしょう。
出典:帝国データバンク
経営者が高齢化しているからといって、すぐに新しい経営者に交代するわけにはいきません。
後継者問題を円滑に進めるには、時間をかけて準備する必要があります。
ここでは、事業継承準備や継承方法の検討について解説します。
事業承継計画とは、中長期の経営方針として事業承継の時期や課題、具体的な対策を盛り込んだものです。
事業承継計画を立てるステップは以下の3つです。
最初に、会社の現状について整理しておく必要があります。
どの継承方法を採用するとしても、他者に事業を引き継ぐわけですから自社の現状を正確に把握して相手に伝えなければなりません。
具体的には、会社経営の概要や将来の見込み、キャッシュフローの状態、知的財産の有無や状況などです。
同時に、株主や親族関係についても調べておく必要があります。
加えて、個人の財産と会社の財産整理や個人の負債・個人保証などについても整理しておく必要があるでしょう。
承継方法については、次の項目で詳しく解説します。
継承方法が決まったら、具体的な引継ぎの段取りに移行します。
後継者教育や会社の「強み」の引き出し方、後継者への生前贈与、公的制度の活用、法的な整理などを行って事業を確実に次の経営者に引き継ぐための段取りを決めていきます。
これまで営んできた事業を誰に承継するかは、後継者問題の最も重要な部分といってよいでしょう。
ここでは、親族内承継・従業員などへの承継・M&Aという3つの承継方法について詳しく紹介します。
小規模法人や個人事業主の場合、真っ先に検討されるのが親族内承継かもしれません。
親族内承継には3つのメリットがあるからです。
親から子へ、あるいは経営者の兄弟や甥・姪といった親族への継承の場合、事業の継続性をイメージしやすいため従業員や顧客が心理的に受け入れやすいというメリットがあります。
継承する可能性がある人をある程度絞り込めるため、後継者として育成する十分な期間を得られるというメリットもあります。
また、会社経営と会社に関する権利を分離する必要がないため、「これまで通り」の経営が可能となる点もメリットでしょう。
しかし、親族内に適任者がいるとは限らないことや相続を巡る争いに会社が巻き込まれる恐れがあります。
従業員に事業を継承させる場合、経営者としての能力を見極めたうえで事業を承継できるという点でメリットが大きい方法です。
従業員や顧客から見ても、馴染みのある内部の人が経営者になるため心理的抵抗感が少ないという点もメリットです。
しかし、後継者が十分な資本を持ち合わせていなかったり、現経営者の個人債務保証を引き継ぐ点などでの課題が多い点に注意しなければなりません。
また、従業員と経営者では立場が異なるため、従業員として優秀だった人物が経営でも能力を発揮できるとは限りません。
M&Aは複数の企業を合併したり、他の会社を買収したりすることです。
事業引継ぎという点では、他の方法と同じように有力な手段といえますが、日本ではあまり活用されていない手法です。
その理由は、小規模法人の8割以上、個人事業主の9割近くがM&Aを検討していないからです。
出典:中小企業庁「2017年版 中小企業白書」
しかし、M&Aには他の二つの方法にはない大きなメリットが存在しています。
次の項目で具体的に紹介します。
なぜ、最も望ましいのはM&Aといい切れるのでしょうか。
理由は、M&Aに3つの大きなメリットがあるからです。
それぞれの内容について具体的に見てみましょう。
1つ目の理由は、廃業よりも手続きが簡単なことです。
法人を廃業するとなると、従業員や取引先への連絡や解散登記、清算人の選任登記、税務署などへの解散届の提出、決算書類の作成や債務整理、官報での解散広告など様々な手続きを行わなければなりません。
しかし、M&Aであれば仲介業者がサポートしてくれるため、廃業よりも簡単な手続きで事業を譲渡・引継ぎできます。
2つ目の理由は、顧客や社員を買い取った会社に引き継ぐことができるからです。
廃業の場合、事業を完全にストップしてしまうため雇用を継続することができず、従業員は職を失ってしまいます。
先ほど取り上げた中小企業白書でも、M&Aを希望した事業者の多くが従業員の雇用の維持や確保を希望しています。
M&Aにより、事業を継続することで顧客への影響を最小限に抑え、従業員の雇用を維持できるのです。
3つ目の理由は、売却益を得られる可能性があることです。
単に廃業する場合、各種登記や専門家への依頼、現事務所の原状復帰などで数十万円以上の出費が見込まれます。
しかし、M&Aであれば会社の権利を譲渡するため、事業を譲渡する経営者は売却益を得られる可能性があります。
もし、無償で譲渡するとなっても廃業時のコストを負担せずに済むため、経済的メリットは少なくないといえるでしょう。
今回は不動産業の高齢化問題や、後継者問題への取り組み方、最も望ましい方法としてのM&Aを紹介してきました。
M&Aは他の方法に比べてトラブルが少なく、安心して事業を承継できる方法です。
ReSMAでは、従業員や顧客、管理物件、宅建業免許などをそのまま引き継ぐM&Aに積極的に取り組んでいます。
小規模な会社から比較的規模が大きい会社まで、多くの会社のM&Aに携わってきた実績を持っています。
不動産会社の売却や購入を考えている方は、ぜひ一度、ReSMAに問い合わせてみてはいかがでしょうか。
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