不動産業界において、事業を展開する上で欠かせないのが「宅建業免許」で、不動産の売買や賃貸、仲介などを業務として行うために取得が必要です。
この記事では、宅建業免許の概要から取得条件、さらには宅建士との違い、免許取得の具体的な手順、M&Aにおける注意点まで詳しく解説していきます。
目次
宅建業免許(宅地建物取引業免許)は、宅地建物取引に携わる業者に必要不可欠な資格です。
この免許は、宅地や建物の取引を業として行うために国や都道府県から交付されるものです。
個人だけでなく、会社などの法人も取得することができます。
ここでは、宅建業免許の概要や有効期限、取得条件などについて解説します。
不動産業を営むためには、宅建業免許が欠かせません。
この免許は、個人事業主だけでなく、法人でも取得できます。
ただし、法人の場合は、事業目的に「宅地建物取引業を営むこと」を明記する必要があります。
免許を取得することで、土地や建物の売買を自ら行うことはもちろん、顧客による宅地や建物の売買や交換の代理・媒介といった、不動産取引のあらゆる場面でビジネスチャンスが広がります。
宅建業免許は、5年間有効です。期限切れにならないよう、免許満了日の90日前から30日前までの間に更新手続きを行う必要があります。
更新手続き中であっても、免許満了日まで営業は継続できますので問題ありません。
ただし、うっかり更新を忘れてしまうと、免許は失効してしまいます。失効した場合、改めて新規で免許を取得しなければなりませんので、注意が必要です。
宅建業免許を取得する際の主な要件は、以下のとおりです。
①事務所の設置が必要
宅建業免許取得には適切な事務所が必要です。
この事務所は、業務を継続的に行える施設であり、独立性が確保されていなければなりません。テントやホテル、他者と共同使用する一室などは認められません。
ただし、固定式のパーテーションなどで区切られ、他の部分を通らずに直接入れる場合は例外的に認められることがあります。
つまり、安定性と独立性が重視される事務所が求められているのです。
宅建業免許を取得するためには、事務所に専任の宅地建物取引士を配置することが法的に義務付けられています。
具体的には、事務所内で宅建業に従事する従業員5人につき1人以上の専任の取引士を配置しなければなりません。
この専任の取引士は、常勤で取引業務に専念し、有効な取引士証を持つ必要があります。
もし、免許取得後に必要な人数が不足した場合には、2週間以内に補充を行う必要があります。
宅建業免許を取得するには、通常、代表者が事務所に常駐し、宅建業務に携わる必要があります。
しかし、代表者が別会社を経営するなど、常駐が難しい場合は、「政令使用人」を置くことで解決できます。
政令使用人とは、支店長や営業所長のように、代表者に代わって契約を結ぶ権限を持つ人のことです。
ただし、個人事業主の場合は、代表者自身が必ず主たる事務所に常駐しなければなりません。
これは、個人事業主は全ての責任を代表者が負うため、常駐によってその責任を明確にする必要があるからです。
「欠格事由」に該当していると、宅建業の免許を取得することはできません。
以上の事由に該当している場合、宅建業免許を取得できないため注意しましょう。
国土交通省は、宅地建物取引業の免許(宅建業免許)が必要な仕事の範囲を以下のように定めています。
以上の仕事を、営利事業として継続的に行うためには国土交通大臣や都道府県知事の免許を受けなければなりません。
一方、自分で保有している土地や建物を賃貸で貸す「大家」の場合、宅建業免許は不要です。
サブリースのように、賃貸物件を不動産会社に一括で貸して家賃を保証してもらう場合も、宅建業免許は必要ありません。
宅建業免許と宅建士にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、両者の違いについて解説します。
宅建士(宅地建物取引士)とは、不動産取引のプロフェッショナルとして、顧客と不動産会社の間を取り持つ国家資格者です。
不動産会社(宅地建物取引業者)で土地や建物の売買や賃貸の仲介を行う際、顧客が不利な取引をしてしまわないよう、法律に基づいて契約内容や物件に関する重要事項を説明します。
不動産取引は高額になりがちで、顧客にとって人生最大の買い物となるケースも多いため、専門知識を持った宅建士が、公正で安全な取引をサポートします。
不動産会社には一定数以上の宅建士の設置が義務付けられており、専門性と社会的責任の大きな仕事と言えるでしょう。
宅建士と宅建業者は、どちらも不動産取引に携わりますが、その役割は異なります。
宅建士は、不動産取引に必要な専門知識を持つ国家資格者で、重要事項説明などを行い、取引の安全性を守ります。
一方、宅建業者は、不動産の売買や仲介などを「業」として行うための免許を受けた事業者を指します。
つまり、宅建士は「人」に対する資格であり、宅建業者は「事業者」に対する免許なのです。
宅建業の免許はどのように取得すればよいのでしょうか。ここでは、宅建業免許の種類と免許申請手順について解説します。
宅建業の免許には、知事免許と大臣免許があります。
知事免許 | 同じ都道府県内にすべての事業所がある |
大臣免許 | 複数の都道府県に事業所がある |
1店舗から営業を始める場合、事務所が存在する都道府県の免許があればよいため知事免許で十分です。
しかし、複数の都道府県にまたがって事業所を設置する際は、国土交通大臣の大臣免許が必要となります。
宅建業免許の取得手順は、以下の流れに沿って行います。
申請書類は、免許申請書や略歴書、宅建士の設置証明書、宅地建物取引業経歴、誓約書など多岐にわたります。
必要書類などで不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。
不動産管理会社のM&Aでは、宅建免許の扱いが重要になります。事業の一部だけを売却する場合は、免許の引き継ぎは認められず、買い手は新たに取得する必要があります。
一方、株式譲渡で会社ごと売却する場合は、会社自体は存続するため、免許はそのまま有効です。
つまり、M&Aの方法によって免許の取り扱いが異なるため、売却する側は事前にどちらの方法が適切か、専門家にも相談しながら慎重に検討する必要があります。
宅建業免許は不動産取引のプロフェッショナルとして活動するために不可欠な資格であり、その取得には様々な条件があります。
一方、宅建士は取引の安全性を守る重要な役割を担っています。
両者は異なる性質を持ちながらも、不動産業界の健全な発展に貢献しています。
M&Aの際にも宅建業免許の扱いは重要な検討事項となります。
不動産取引に関わる際は、これらの制度を十分に理解することが大切です。
M&Aを行う前に、不動産会社のM&Aの経験が豊富なReSMAのような専門家のアドバイスを受けたほうがよいでしょう。
詳しくは、ReSMAに直接お問い合わせください。
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