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後継者を内部で育成するのは大変?M&Aのメリット・デメリットとは?

2024年9月5日
不動産会社M&A

事業承継は、企業の未来を左右する重要な課題であり、多くの中小企業にとっては避けて通れない問題です。

特に日本では、高齢化が進む経営者が増え、適切な後継者の確保が難しい現状があります。

そのため、事業承継は単なる引き継ぎの問題ではなく、企業の存続と成長を見据えた計画的な取り組みが求められます。

この記事では、事業承継の重要性と、そのために考慮すべき要点について詳しく解説します。

1.なぜ、事業承継について考えなければならないのか

「自分はまだまだやれる!」と思っている経営者の方からすれば、事業承継の必要性に納得がいかないかもしれません。

しかし、現実には事業承継はかなり計画的に考えなければいけない課題です。

ここでは、事業承継を考えるべき理由について解説します。

(1)事業承継の現状

事業承継とは、経営者が自身の会社や事業を後継者に引き継ぐことです。

日本企業の99%を占める中小企業の事業承継はどのような状況なのでしょうか。

2024年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要」によると、半数以上の企業で後継者が不在となっていることが明らかになりました。

その一方で、後継者が決まっている中小企業でも、事業承継に何らかの課題を抱えている企業が見られます。

かつては、親族や子ども、信頼できる部下などを後継者として事業承継を行っていましたが、そのやり方だけでは事業承継が上手くいかないかもしれません。

(2)不動産会社経営者の高齢化問題

中小企業庁の「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は、全国で約245万人いるとされます。

そのうち、約半数の127万もの企業で後継者が定まっていません。

帝国データバンクが出した「全国「社長年齢」分析調査(2023年)」をみると、不動産業の社長の平均年齢は62.6歳であり、全9業種で最も高齢化が進んでいることがわかりました。

つまり、不動産会社経営者は他の業種よりも高齢化が進んでいるため、事業承継を急ぐ必要があるのです。

(3)後継者選びや育成に時間がかかる

後継者を内部で選ぶ場合、後継者選びと育成に時間がかかります。

後継者育成に必要な期間は、最低でも10年ほど必要です。

そのため、現経営者が引退する時期から10年逆算して後継者の指名と育成を行わなければなりません。

70歳で現役を引退したいのであれば、60歳までに後継者を選び、10年かけて育成する必要があります。

ただし、後継者選びを早めに行ったからといって、必ずしも事業承継に成功するとは限りません。

なぜなら、後継者候補が経営者に向いていなかったり、色々な理由で経営の引継ぎが困難になる可能性があるからです。

2.後継者の内部育成のメリットとデメリット

事業承継のうち、親族や従業員などを後継者と育成し、会社経営を引き継ぐ方法を内部承継といいます。

内部承継にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

それぞれについて詳しく見てみましょう。

(1)内部育成のメリット

内部で後継者を育成するメリットは以下のとおりです。

  • ・準備期間を確保しやすい
  • ・自社のノウハウや文化を継承させやすい
  • ・従業員や取引先の信用を維持しやすい


身内や社内の人材に事業を引き継ぐ場合、十分な時間をかけて後継者を選び、育てることができます。また、様々な業務を経験し、会社全体の仕組みを把握するための時間も確保できます。

このゆとりある準備期間が、円滑な事業承継を可能にします。自社のノウハウや文化を継承させやすいのも、内部承継のメリットです。

長年会社に貢献してきた従業員や、経営に携わってきた親族などは、会社の理念や業務の進め方を深く理解しています。

そのため、引き継ぎがスムーズに進み、経営の移行後も、これまで通りの事業運営を滞りなく続けることができるでしょう。

内部承継の強みは、後継者が普段から社内外と深く関わっているため、経営方針を理解しているため、スムーズな引継ぎが期待できる点にあります。

円滑な経営には、従業員や取引先の支持が不可欠ですが、後継者が普段からよく知っている人物であれば、従業員や取引先の不安も軽減されるでしょう。

(2)内部育成のデメリット

内部で後継者を育成するデメリットは以下のとおりです。

  • ・適任者を探すのが大変
  • ・育成に時間とコストがかかる


まず、適任者を探すのが大変です。現経営者の親族や長年勤務する従業員の中に、適任者がいない可能性があります。

従業員としては優秀でも、経営者として求められる資質が不足している可能性があるからです。育成に時間とコストがかかる点も見逃せません。

後継者育成は短期間で達成できるものではなく、数年単位の計画と投資が必要となります。

経営ノウハウの習得、リーダーシップの涵養、多岐にわたる関係者との信頼構築など、時間をかけて育成していく必要があるため、相応のコスト負担が生じます。

3.M&Aのメリットとデメリット

親族や従業員に適任者がいない場合、事業承継の方法としてM&Aが考えられます。M&Aとは、企業の合併・買収のことです。

売り手である事業主が、買い手企業に事業を売却することで事業承継を行います。

ここでは、M&Aのメリット・デメリットについて解説します。

(1)M&Aのメリット

M&Aは、売り手と買い手の双方にメリットをもたらす手法です。主なメリットは以下のとおりです。

  • ・短期間で事業を引き継げる
  • ・事業継承後も雇用を維持できる
  • ・事業主が利潤を確保できる

M&Aは、スピード感をもって事業承継を実行できます。M&Aに要する期間は半年から1年程度とされています。

案件によっては数年を要することもありますが、長期的な人材育成が必要な内部承継に比べると、より短期間で事業を引き継ぐことができます。

M&Aは、雇用維持の観点からも有効な手段です。M&Aによる事業承継では、約8割の企業で全従業員の雇用が維持されています*1)。

廃業という選択肢を選べば、従業員は職を失ってしまうことを考えると、M&Aは事業を存続させ、雇用を守りながら、新たな成長の可能性を追求できる方法と言えるでしょう。

M&Aは、事業主が利潤を確保するという観点から見ても有効な手段です。

廃業による従業員への退職金や固定資産処分に伴う損失を負うことなく、事業を売却することで譲渡益を得ることが可能となるからです。

さらに、個人事業主であれば、M&Aによって個人保証から解放される可能性も高まり、大きなメリットとなります。


*1)中小企業庁「事業承継を知る

(2)M&Aのデメリット

M&Aは、売り手にも買い手にも大きなメリットをもたらしますが、注意すべき点もあります。

ここでは、M&Aのデメリットを紹介します。主なデメリットは以下のとおりです。

  • ・信頼できる買い手を見つけにくい
  • ・従業員や取引先から反発を受ける可能性がある

M&Aにおいて信頼できる買い手を見つけることは、重要な課題の一つです。

希望条件を満たす企業が現れない可能性があり、また自社と関わりのない第三者への売却には心理的な抵抗が生じることもあります。

さらに、短期間で納得のいく会社を見つけることは容易ではありません。

M&Aは、従業員や取引先からの反発を招く可能性もあります。

M&Aによって労働条件や取引条件が見直される場合、従業員は待遇や業務内容の変更、業務量の増加といった不安を抱く可能性があり、取引先も従来通りの取引継続に不安を感じることが考えられます。

4.後継者育成とM&Aの比較

後継者の育成は、時間をかけて会社への理解を深め、社内文化の継承をスムーズに行えるという点で大きなメリットがあります。

しかし、後継者としての資質を持った人材を見つけることの難しさ、そして育成にかかる時間とコストを考えると、必ずしも最適な選択とは言えません。

一方、M&Aは、適切な買い手企業を選ぶことで、これらの課題を克服できる可能性を秘めています。

短期間で事業承継を実現できるため、経営者の年齢や健康状態、市場の急激な変化にも柔軟に対応できます。

また、従業員の雇用維持や事業主の利益確保といった観点からも、M&Aは魅力的な選択肢となりえます。

もちろん、M&Aには、信頼できる買い手企業を見つける難しさや、従業員や取引先の理解を得るための丁寧なコミュニケーションが欠かせないといった課題も存在します。

しかし、専門家のサポートを仰ぎながら慎重に進めることで、これらの課題を克服し、企業の長期的な成長と発展を実現できる可能性があります。 

大切なのは、自社の状況、市場環境、そして将来展望を総合的に判断し、最適な事業承継の方法を選択することです。

適切な事業承継者がいない場合や、廃業を検討している場合は、M&Aの専門家に相談してはいかがでしょうか。 

5.まとめ

今回は、後継者の内部育成やM&Aのメリット・デメリットについて解説しました。

これまで、中小企業の多くでは、身内や社内の人材が事業を承継する内部承継が一般的でした。

しかし、諸々の事情から、後継者の育成が難しくなっています。一方、M&Aは雇用を維持しつつ事業主が利潤を得やすいというメリットがあります。

廃業と比べてもコストを抑えやすいという点でも事業主に利点がある手法です。しかし、M&Aについてあまり知らないという事業主の方もいらっしゃるでしょう。

そんなときに頼りになるのがM&Aの専門家です。

ReSMAは、不動産会社専門のM&Aプラットフォームであり、多くのM&Aを成功させてきた実績を有しています。

不動産会社の事業主で、M&Aを考えている方は、ぜひ一度、ReSMAに相談してみてはいかがでしょうか。

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